公開: 2024年3月20日
更新: 2024年3月20日
大学、学部、学科など、大学組織の新設や変更などが自由な米国社会では、大学、学部、学科で提供されている教育の「質」は、大学の名前で判断することはできません。このため、1970年代から、専門分野別の標準カリキュラムを、専門家組織(学会など)が設定し、その標準カリキュラムに基づいて、しっかりと学生指導が実施されているかどうかを、専門家団体が審査し、審査に合格していることを認める「アクレディテーション」制度が確立されました。
どんなに有名な大学の学部・学科でも、このアクレディテーション制度で認定されていない場合、その学部・学科を卒業していても、専門家として社会で働くことはできません。つまり、専門家団体が認めた学部・学科の卒業生だけが、その専門分野の専門家として働くことができるのです。
企業は、人材を募集する場合、人材募集広告に、募集している人材について、そのような専門分野を記載します。人材募集は、専門家団体を通して、学会誌などで告知されるので、応募する人々は、そのような団体の組合に参加している人々に限られます。また、専門家の給与は、その最低賃金が団体によって決められているため、そこからずれた賃金にはなりません。応募者の推薦も、団体が行います。米国社会で、専門家の流動性が高いことは、このような制度に守られていることが、理由の一つです。